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第125話 女王のつくり方

Author: marimo
last update publish date: 2026-09-20 21:55:56

雪城沙羅は、昔から負けることを知らない女だった。

いや。

正確には、負けないためなら、何でもしてきた女だった。

デビュー当時。

現場には、自分より遥かに格上の大女優たちが並んでいた。

主演。

看板。

視聴率を持つ女たち。

スタッフが彼女たちに向ける笑顔。

共演者たちが交わす会話。

現場に入った瞬間から、誰が中心なのかが分かる。

その中で沙羅に与えられるのは、端役ばかりだった。

台詞は数行。

名前すら覚えられない役。

撮影が終われば、誰の記憶にも残らない。

悔しかった。

唇を噛みしめた夜も、一度や二度ではない。

自分だって、ここにいる。

自分だって、もっとできる。

そう叫びたかった。

けれど、沙羅は泣かなかった。

泣けば、負けたことになる。

弱いと思われたら、そこで終わる。

だから、代わりに観察した。

誰が不安を抱えているのか、

誰が年齢に怯えているのか、

誰が椅子を奪われることを恐れているのか、

誰が、自分より若い女優を怖がっているのか、

沙羅は、誰よりも静かに人を見ていた。

そして、

静かに追い詰めた。

直接ではない。

噂。

比較記事。

週刊誌への小さな火種。

ほんの少し、誰かの耳
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